書籍紹介「リハビリテーションのための行動分析学入門」

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書籍紹介「リハビリテーションのための行動分析学入門」です。行動アシストラボ研究員の藤井が担当します。

この書籍は行動分析学(以下ABA)の入門書ですが内容は「リハビリテーション分野」に特化しています。この書籍が対象としている読者層は理学療法士、作業療法士などの職種です。ただそれ以外の職種の方々にも十分わかりやすい「ABAの入門書」になっています。

今回は、あえて「リハビリテーション」以外の内容を紹介します。

行動分析学の概論から研究方法までを網羅

まず、ABAの概論がわかりやすく解説されています(1章)。医療系の書籍にあるような堅苦しい文章ではなく、イラスト付きで分かりやすい内容です。

多忙な方は第1章、第2章を読むだけでも十分です。そもそもなぜABAを臨床で用いる必要があるのか、他の方法論(主に精神分析など)との相違はなにか、そんなところがコンパクトに書かれています(第1章)。

第1章はABAの哲学といったところでしょうか。

いまだにABAは妙な誤解があります。表面的、人間を動物と同じように扱っている、など。それらへの反論あり答えも1章には書かれています。私自身も改めて読んで頭の中が整理されました。

第2章は、おなじみの死人テスト、オペラント条件づけ、レスポンデント条件づけの解説。強化スケジュール、確立操作もありますよ!さらに好子、嫌子、4つの随伴性についてもサクッと解説してあります。

他の研究員が紹介していた「行動分析学入門」等の重厚な入門書の前に読んでみるのもお勧めです。

ただ、この本はわかりやすいだけではないのです。他のABA入門書では割愛している部分である「研究方法(第4章)」や「行動の記録…行動の観察法(第3章)」も網羅しているのです。

行動の記録法や観察法も詳しく解説

第3章では「行動の記録…行動の観察法」が詳しく書かれています。

ABAの書籍を読むとよくあることですが「ぜひやってみよう!」と思うことは思うのです。ただし…目前の「問題行動」をどう把握するか、つまり観察すればいいのか。「問題行動」をどう記録、数値化してののか…途方にくれてしまいます。結局、なんとなく介入を始めたり、中途半端になってしまうことも。

ABAは気の利いたテクニック集ではありません。介入前にいかにデータを収集するかが大事。データを収集しているだけでも行動が改善されることもあるくらいです(詳しくは「臨床行動分析のABC」の第2章を見るべし)。

その大事な行動の記録法、記録のための観察法が詳しく記述されています。

「行動」といっても様々な側面があります。今、私は横にある携帯で将棋のアプリをしたくてしょうがないわけです。ただ、この原稿を書かねばいけません。原稿書かかなきゃ‥でも将棋やりたい…。「将棋のアプリで将棋の対局をする」という問題行動をいかに減らすか………

そのためにはまずは問題行動の性質を記録し、観察する必要があるでしょう。問題行動が起きるまでの時間、頻度、問題行動を続ける時間など…様々な側面を把握するには記録と観察が必須です。その記録と観察の方法が詳細に書かれています。

ABAの研究方法も詳しく書かれています。研究に興味の無い臨床家も必見

「研究には興味ない。患者(クライエント)の改善が大事」という臨床家の方々…ちょっと待ってください。気持ちはわかります。目の前の問題、課題をどうやって早く確実に改善するか。それに目が行きがちなのは当然のことです。

ただしABAは研究と臨床が表裏一体、いや「一体そのもの」です。特定の介入(独立変数)の操作によって標的行動(従属変数)がどのように変化していくか、変化していかないのか…私自身はABAの方法論をそのように解釈しています。

つまり研究の視点が無いとなかなか臨床もうまくいきません。

ただ、臨床は袋小路のようなもの。制御不可能な変数も多々あるのも事実です。袋小路に陥った時、今までの介入(独立変数)や仮説(機能的アセスメント)が妥当であったかどうかを振り返ることも必要です。

そんな時に大事なのが研究方法です。手続きは妥当だったか、デザインに無理はないか、ベースラインは長すぎないか(短すぎないか)などなど。

なんとなく介入を始めてしまっているあなた!(実は私ですが…)研究者の視点を持ちましょう。

そんな視点を養うためにもこの本の第4章はおススメです!!

最後にこの本の特徴のまとめ

「リハビリテーションのための行動分析学入門」は特にABAの基礎理論、行動の記録や観察法、研究法が分かりやすく詳細に書かれています。これが他のABA入門書と違うところです。忙しくて研究が出来ない、そもそも研究に興味が無い方も是非読んでください。

記録、観察、研究法の知識は「ABA」にとって必須です。研究しなくても必須!ABAをベースにした臨床には今までの述べてきた知識が必要なのです。

その他、この本は

  • 慢性膝痛(肩こり、腰痛)のABA
  • 高次機能障害へのABA
  • 転倒予防へのABA

などなど、リハビリテーションらしい介入方法も紹介されています。私としては慢性膝痛にABAが介入しているのが意外でした!!

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