書籍紹介「子育てに活かすABAハンドブック~応用行動分析学の基礎からサポート・ネットワークづくりまで」

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書籍紹介「子育てに活かすABAハンドブック~応用行動分析学の基礎からサポート・ネットワークづくりまで」です。行動アシストラボ研究員の堀越が担当します。

本書の監修は井上雅彦氏、著者は三田地真美・岡村章司氏の両名です。出版は日本文化科学社で初版が2009.1.30です。

本書と出会うまで

本の出会いは、ようやくABAの専門用語が分かりだしたときに出会いました。これまでの学習で、ABAの原理原則がなんとなく頭に入った状態だったとき、何かしっくりこないと感じていました。

何がしっくりこなかったというと、私の紹介した書籍「対人支援の行動分析学~看護・福祉・教育職を目指す人のABA入門」で書いたように、小さなケースに絞るとABAの原理原則を当てはめながら支援をすることができました。

ABC分析をして、利用者の行動がどんな機能を持っているのか、さらに機能の効果を変更することで行動が変わるのか。覚えたてのころは、ABC分析ができること自体が楽しかったです。

時がたつにつれ、もっと体系的に使いたいという欲がでてきました。全体的にどうやって見ていくのかを考えると、スムーズに頭が働かない状態でした。

車の免許で例えると、ペーパーでの理解はしたが、路上とのギャップに戸惑う感じと似ています。あれこれ本屋巡りをしているときに、出会ったのが本書でした。

本書の内容紹介とオススメの理由

本書をめくると最初に「この本の目的と効果的な使い方ガイド」が書かれています。何を伝えたいかガイドされていると、見通しが立って安心します。内容は以下の通りです。

  • 第1部 ABAの基礎の基礎を学びたい方のために ―「やりとり上手への道」―
  • 第2部 ペアレント・トレーニングの企画・運営をしてみたい方のために ―場づくりのノウハウとしてのファシリテーション入門―
  • 第3部 実際のABAを学ぶためのペアレント・トレーニングを追体験してみたい方のために ―具体的なケースからー

指導の手続き作成フォームが秀逸

この本で秀逸だと思う点は「指導の手続き作成フォーム」という書式にあります。

この書式は、ザックリ言えばABC分析と氷山モデルが合わさり、かつ、ターゲット行動が身につく過程も記録できるアクティブに使える書式になっています。

氷山モデルは、行動には顕在化された行動と潜在的な行動する要因に分けてあります。氷山のように、顕在化している行動を支えている潜在要因に比べると、ほんの一角であるというモデルです。

潜在化の部分は、個人因子と環境因子に分かれている概念図です。

個人の強みを引き出すために、環境を整える情報が書き込めるようになっています。「指導の手続き作成フォーム」に情報を書き込む段階で、協力関係者と「連携・協調」しながら、同じ青写真を見ながらケースワークをすることができます。

ABAの活用をご家族にも広げているところがこの本の強み

フォーマットも秀逸だと思うのですが、やはり、ABAの活用を現場の支援者だけではなく、ご家族にも広げているところがこの本の強みに思います。

通常、子ども(利用者)を一番長く支援している存在はご家族です。現場で支援をしていても、ご家族の支援はとても影響力があります。身近にいるからこそ、客観視しにくい子供(利用者)の行動を、ABAの視点でみることの提案しているところに魅力を感じます。

さらに、障害を持つ子供を持つ家族同士が、学習会を開くにはどうしたら良いか、具体的な提案とケースが書いてあります。

情報として本書を読むことはもちろんオススメなのですが、読んでいて著者の思いをひしひしと感じる本は出合ったことがありません。たとえ障害を持って生まれたとしても、彼らが過ごしやすい社会を作ろうと、一番身近なご家族に対して訴えているような感想を持ちます。

手段としてのABAから「社会に働きかけるABA」へと考え方が一変

私にとって、手段としてのABAから、社会に働きかけるABAへと考え方が一変した一冊です。

それまで、ABAは行動変容をするための道具というイメージが先行していました。手段としては間違いではありませんが、そこから一歩離れて、利用者の本当に求めるニーズは何かを考えました。

この考えによってABAを使う対象も変化しました。それまでは、利用者を中心に分析していましたが、支援者や家族も分析するようになりました(推測の範囲にとどめていますが)。

これをする理由は「それぞれの協力関係者が機能させたいものは何か?」という点です。それにより、協力関係者の考えていることをより早く理解することができるようになってきました。

すると、それぞれ微妙に見方・捉え方の観点の違いに気づくことがあります。それをもとに、利用者の立場に立つ努力をしながら、その支援(見方・捉え方)がどう機能するのか(しているのか)も考えてみました。

これを継続して実感したことは、相手のやりたいことの推測がたつと、コミュニケーションは円滑になることでした。協力関係者のコミュニケーションが円滑になるということは、よりつながりが深く持てることになります。そして、ブレにくい支援ができるようになってきました。

繰り返しになりますが、この経験は私の狭いABA観を変えるキッカケを提供してくれました。

こんな方にオススメ

タイトルに「子育てに活かす・・・」とありますので、子どもを持つご家族が対象なのは間違いないのですが、ABAの学習を始めたばかりの方にもオススメします。できれば、グループを作って読みこむと効果は数倍に上がると思います。

やはり、ある程度共通理解してものごとを見ることは大切です。

そして、実践を通してある程度ABAの原理原則を学ぶも、もっと広い観点でABAを捉えたいという方もオススメです!

読み方は、「指導の手続き作成フォーム」に当てはめながら実際の支援と照らしていくことをオススメします。本書は、いろいろな示唆を与えてくれるでしょう。

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