産業図書「行動分析学入門」:行動分析学を学ぶならこの本は外せない

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書籍紹介「行動分析学入門」です。今回は行動アシストラボ代表理事兼研究員の矢野が担当します。

今後、他にも色々な書籍を紹介していきますが、記念すべき最初の一冊はこれです。

産業図書から出版の「行動分析学入門」。行動分析学の教科書とも言うべき存在です。この本を紹介せずして、他にいくわけにはいきません。行動分析学を学ぶための本といえば…で最初に頭に浮かぶ一冊です。

読む度に発見がある一冊

この行動分析学入門は「入門」という文字からはちょっと想像できないほど専門的な内容になっています。一般の人が最初に手に取るという意味での入門ではなく、これから専門家になろうという人にとっての入門。そう理解しています。

それは目次をみるだけで分かります。

  • 第1章 好子
  • 第2章 好子出現による強化
  • 第3章 嫌子消失による強化
  • 第4章 嫌子出現による弱化
  • 第5章 好子消失による弱化
  • 第6章 消去と復帰
  • 第7章 分化強化と分化弱化
  • 第8章 シェイピング
  • 第9章 強化スケジュール
  • 第10章 生得性好子と生得性嫌子
  • 第11章 特殊な確率操作
  • 第12章 習得性好子と習得性嫌子
  • 第13章 刺激弁別
  • 第14章 刺激般化と概念形成
  • 第15章 模倣
  • 第16章 阻止による強化
  • 第17章 阻止による弱化
  • 第18章 並立随伴性
  • 第19章 刺激反応連鎖と反応率随伴性
  • 第20章 レスポンデント条件づけ
  • 第21章 言語行動
  • 第22章 強化モドキ
  • 第23章 ルール支配行動の理論
  • 第24章 ペイ・フォー・パフォーマンス
  • 第25章 道徳と法による行動の制御
  • 第26章 行動の維持
  • 第27章 行動の転移
  • 第28章 研究法

明らかに行動分析学を知らない人に向けた本ではありません(笑)もしかしたら著者達の意図は違うかもしれませんが、最初からこの本が読めたという人にはあまり会ったことがありません。

しかし、ちゃんと行動分析学を学ぼうと思ったら、この網羅性は非常に素晴らしいのです。

強化や弱化といった基本的な(そして最も重要な)原理から言語行動やルール支配行動といったあたりまで、行動分析学を一通り学ぼうと思ったら目を通しておくべき内容が全て書いてあります。

僕にとってはまるで辞書のような存在で、例えば「復帰ってなんだっけ…」などとちょっと思い出せなくなった時は索引から探して、定義を参照したりします。

また行動の諸法則についても正確に記述してあるため、改めて読んでみるとちょっと勘違いして覚えていたことに気づくこともあります。以前読んだ時には理解できていなかった、ということなのでしょう。

3〜4回くらい読んでいますが、いつ読んでも何かしらの発見があります。それだけ詳細に、かつ網羅的に記述されているのだと思います。

例が具体的に考えるきっかけをくれる

またこの本にはたくさんの例ができてきます。この例のおかげで、行動の法則について理解するための手がかりが得られます。

行動の諸法則についての定義は、非常に正確かつ簡潔な表現にまとめられていますが、それ故に定義だけ読んでも最初はよく分かりません。例えばこの本で「好子」は次のように定義されています。

行動の直後に出現すると

その行動の将来の生起頻度を上げる

刺激、出来事、条件

ふむ…と頷いて思考が止まってしまいそうです。

でも、例も合わせて読んでみると「なるほど」と思えます。好子の例であれば、次のような記述があります。

暁子、赤ん坊が泣くたびに君がそれを聞きつけてあやすだろう? そうするからますます泣くんじゃないかと、僕は思うんだけれどもね。君が赤ん坊をかまってやることが、傑が泣くことの好子になっているんじゃないかと思うんだ。

これを先程の定義に沿って読み解くなら、赤ん坊にとって「泣く」という行動の直後に「母親があやしてくれる」という出来事が出現し、結果、赤ん坊の「泣く」という行動の生起頻度が上がる、となります。

まだややこしく感じるかもしれませんが、例と定義とを突き合わせながら読み解いてみてください。それがいい勉強になるのです。

定義とは抽象的な表現です。それだけでは初めて触れる概念を自分の中に落とし込むことは難しいです。でも本書には豊富な例が載っています。抽象的な定義と具体的な例とを突き合わせながら、少しずつ理解を深めていくことができます。本当に助けになる本だと思います。

展開編で議論を楽しもう

本書には各章の最後に「展開編」というパートがついてます。ここまた面白いのです。

展開編ではまだまだ議論の余地があるテーマ、今後検討すべき課題などについて触れられており、著者らの主張がまとめられています。僕は研究者じゃないので実際のところは分かりませんが、おそらく専門家間で議論が白熱してしまうようなアグレッシブな内容もあるのではないかと。

それに習うわけではありませんが、この展開編をネタに色々と議論してみるのも面白いのです。僕たち行動アシストラボでは、行動分析学入門の読書会を毎月開いていますが、そこで参加者と内容について意見を交わしたりしています。展開編はそのいいきっかけになるのです。

ちゃんと異論があることを示唆する表現になっているので、「もしかしたらこうも考えられるのでは?」といった発想につながりやすいようです。

行動の諸法則について定義と例で学びを深め、展開編で議論や意見を交わし更に学びが深まる。一冊で二度美味しい感じですね。

最後に

もし行動分析学の本を一冊しか読んではいけないという縛りがあるなら、僕は迷わずこの本を推薦します。

最初に書いたように、この本はいままで行動分析学に触れたことがない人には難易度が高いです。でも、よく読んでみれば表現はわかりやすいし、例もたくさんあります。時間をかければ十分に読むことはできるでしょう。しかも、行動分析学について学ぶべきことが一通り書いてあります。

1冊しか選べないとしたら、この本です。

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