なぜあの人はわかってくれないのか?

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こんにちは!

行動アシストラボの愛里です。

伝えているつもりだけど伝わらない。
言っているのになかなかわかってもらえない。
一体どうしたらいいのか。

社会に出ると、このような悩みが頻発してくる方も多いのではないでしょうか。
今回は、コミュニケーションのお悩み解決方法を行動科学の視点からお伝えします。

よくあるコミュニケーションのずれ

よく講座でもお伝えしている例に次のようなものがあります。

ーある日ー

上司「今回の打合せの報告書、みんなにわかるように作っておいて」

部下「わかりました」

ー後日ー

上司「資料、頼んでたのと違うじゃないか。作り直して」

部下「はぁ・・・」

もう一ついってみましょう。

奥さん「それでね、お隣さんがね・・」

旦那さん「うん」

奥さん「●なんだって~!」

旦那さん「へー」

奥さん「・・・ちゃんと聞いてる!?」

旦那さん「うんー」

どちらも、よくある場面ですよね。
そう、聞いているようで聞いていない、アレです。

言っても言っても通じない。
何度も言っているのに変わらない。
なんでわかってくれないのか。

言葉が持つ二面性

言葉には「意味」と「機能」の2種類の受け取り方があります。
「機能」という言葉は、あまり使いなれないかもしれませんね。
それぞれ簡単に説明してみます。

「意味」とは、辞書に載っているような、どんな場面においても普遍的な、それぞれの言葉が表現する内容です。
一方で、「機能」とは、その場で物理的に起こす変化や働き、作用のことです。

私たちが何か言葉を発するとき、実は2種類の場合があります。

  ①意味 ≒ 機能

の場合と、

  ②意味 ≠ 機能

の場合です。

最初に挙げた2つの例はどちらも、②ですね。

どういうことかというと、

1つ目の例で言えば、「わかりました」という”言葉の意味”は「理解した」ですが、”機能”は「今の話は聞き終わった(だが内容を理解したとは言っていない)」です。
同様に2つ目の例で言えば、「うん」という”言葉の意味”は「受け入れた」ですが、”機能は” 「今の話は聞き終わった(だが内容を受け入れたとは言っていない)」です。

私たちが「わかりました」という発言をするとき、「おっしゃる内容をすべて完全に理解しました」という意味でつかうよりは、「今言われたことを聞き終わりました(理解したとは言ってない)」という場合のほうが多いのではないでしょうか。
理解したかどうかでいうと、おそらく完全には理解しきっていないので、本当はいろいろ確認したほうがいいとは思うけどとりあえず話を先に進めよう、というときにも使いますよね。

このように、言葉の表す内容と、発言したときに起きている変化(機能)は異なることが多々あります。

「伝わっている」は実はとても奇跡的なこと

もともと人類は”言葉”を持ち合わせていませんでした。
それがなんと、先人たちの気が遠くなるような歴史のお陰で、現代の私たちはこんなにも複雑なコミュニケーションが可能になっています。

しかし、一人一人の人間があまりにも異なっているように、同じ字面であっても、その字面に貼られている意味の受け止め方は人によって大きく異なります。
なぜなら、”言葉”とは、私たちの中にある何かしらの「印象」のような見えないものの集合体に無理やり一つの形を与えているに過ぎないからです。

想像してみてください。
人生において、あなたと一番長く時間を共にしている人を。
その方は、あなたの言葉をいつでも100%正しく受け取っているでしょうか。

・・・なかなか難しいでしょう。
いわんや、職場の人をや。

仕事だと、期限は迫る、他の業務もある、疲れもある、あれもやらなきゃこれもやらなきゃ・・・
いろんなことに追われていてなかなか余裕もないと思います。
相手に伝わるようになるべく丁寧に・・・という気遣いもなかなかできないかもしれません。

でも、だからこそ、1回1回の言葉の選択を大切にすることが重要なのです。

望む”機能”に近い言葉を選ぶために

コミュニケーションにおけるズレを修正するには、まず言葉の機能を知ることです。
自分が今使っている言葉の機能。
相手が使っている言葉の機能。

相手の発言の「意味」を探ろうとすると妄想や憶測が入り込んできて、不要な不安や恐怖心をあおることもあるでしょう。
そうではなく、もっと客観的に探っていく方法があります。
それがABC分析です。

ABC分析では、誰かの1つの行動に着目し、その前後の変化をつぶさに観察することで、その行動の
・機能
・きっかけ
・理由となる変化
などを明らかにしていきます。

機能を知ることによって、自分の発言が、相手に与えていた”本当のはたらき”(=機能)はなんだったのかがわかります。
機能がわかると、自分の発言した言葉の意味と機能の差が明らかになるので、自分の言葉をより適切な言葉に修正することができるのです。

ABC分析の具体的な方法は行動科学(行動分析学)の書籍にはほぼ必ず紹介されています。
特に、行動分析学の入り口としてもお勧めなのが次の2冊です。

『メリットの法則』 奥田健次 208ページ 集英社
『人は、なぜ約束の時間に遅れるのか』 島宗理 211ページ 光文社

また、私たちの各種講座でもお伝えしています。
ぜひ参考にしてみてください。

ABC分析に関わる考え方についてはまた今度^^
それではまた。

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